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BCP対策は保育園でも必要!その理由と進め方のポイントを確認

災害やテロ、感染症などの非常事態においても事業を継続するために、BCP対策は保育園においても重要な取り組みです。ただ、具体的な取り組み内容が明確でない場合、対策を進めにくくなる傾向があります。

そこで「保育園で行うべきBCP対策を知りたい」という方のため、BCP対策が必要な理由や考えるべき要素、進め方などについて解説します。どのような対策が必要か知り、BCP対策を効果的に進めたいと考える場合は、以下の内容をご参照ください。

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保育園でBCP対策が必要な理由

保育園でBCP対策が必要とされるのは、保育園は、園児や保護者にとって安定した環境を維持すべき場所であるためです。

そもそも BCP対策とは、大規模災害や感染症の発生時などにおいても、重要な業務を可能な限り継続し、早期に復旧するための対策を指します。保育園で預かる子どもはまだ小さいこともあり、何か緊急事態が発生した際は職員が主体的に園児の安全確保に努める必要があります

何も災害時の対策をとっていないようだと緊急事態が発生した際に適切な対処ができないため、BCP対策を事前に講じておくことが求められます。事前に対策をとっておくことにより、職員も緊急事態にどのように動くべきか判断しやすくなります。

関連記事:BCP対策とは?防災との違いや策定するうえで検討すべき要素

保育園でBCP対策が求められるようになった経緯

2023年に保育園でのBCPの策定が努力義務とされました。これは、仮に災害発生時などに保育園が業務を停止してしまうと、社会全体への影響が大きいとされているためです。
近年は共働きの世帯が増えてきており、保育園の利用需要は年々増加傾向にあります。

このような状況下で自然災害や感染症が発生した際、保育園が業務を停止してしまうと園児の受け入れが困難になり、保護者の社会活動が制限される可能性があります

これにより各企業の復旧が遅れてしまうなど社会機能の停止につながることも考えられるため、保育園のBCP対策は重要です。災害時に備えてBCP対策を講じておくことで、被害の抑制と早期復旧につなげることが可能です。

保育園のBCP対策で考えるべき要素

保育園がBCP対策を進めようとする際、どのような要素を事前に検討すべきかを明確にする必要があるのでしょうか。

ここでは、ポイントになる要素について6つ解説します。各項目について事前に十分な確認が求められます。

対応の優先順位

大規模な自然災害や感染症の流行などが起こってしまった場合、どのような業務から優先していくのか考えておくことが重要です。
真っ先に考えるべきこととして、園児の安全確保が挙げられます。同様に職員の安全確保を実施する必要があります。

また、保護者対応も同時に行っていかなければならないので、園児の引き渡しに関する業務も優先的に対応する必要があります。

基本的に、安全確保に関連することの次に優先すべきなのは、事業を継続していくのに必要な業務です。災害の種類によっては何日か休園しなければならないこともありますが、そういった場合でも早期再開を目指し、必要な業務を優先的に進めることが求められます。

避難計画

緊急事態が発生した際に園児や職員の安全を守るためには、避難計画を立てておくことが欠かせません。何かあったときでも冷静な判断ができるようにあらかじめ避難ルートを把握し、対応手順を整備しておくことが必要です。

また、保護者と情報を共有しておくことも重要でしょう。

保育園側で避難計画を立てていても、実際に起こった際に保護者が次々とお迎えに来れば対応に時間を取られてしまいます。
災害が発生した際に保育園でどのように対応するか伝えておかないと、保護者も取るべき行動を適切に判断することが難しくなります。

訓練の実施

万が一の災害時に備えて対策を検討していたとしても、実際に災害が起こった際に想定していた通りの行動ができるとは限りません。安全性を高めるためには、定期的に訓練を行うことが重要です。
職員が適切な行動手順を確認することに加え、繰り返し訓練を行い園児にも緊急時の動きを理解しておいてもらいましょう。

早急な避難が必要となるような事態に陥った場合、園児がうまくまとまってくれないとなかなか避難できません。普段から定期的に訓練を行っておけば園児も避難行動の流れを習得しやすくなり、迅速な対応につなげられるでしょう。

園児や職員がケガをしてしまったときのことも考え、応急処置訓練も定期的に実施することが望まれます。

通信・連絡手段

大規模な災害が発生すると、普段利用している通信・連絡手段が利用できなくなる恐れがあります。そのため、複数の通信手段を事前に確保しておくと良いでしょう。

たとえば、電話やメールはうまくつながらなくなる可能性が高いため、保護者連絡アプリの導入が有効と考えられます。連絡がつかない場合は不安になり「子どもをすぐに迎えにいかなければ」と考える保護者も多くいるはずです。
園側で迅速な避難を済ませたとしても、それが保護者に伝わらなければ危険な状況下で無理に迎えに来てしまう人がいることも考えられます。迅速に保護者と連絡が取れる通信手段をあらかじめ用意しておくことで、保護者に対して必要な情報を迅速に提供できます。

医療機関との連携体制

災害が発生した際は、ケガをする可能性があります。特に小さな子どもの場合、心肺蘇生法は大人と異なるので、正確な対応を行うため、日頃から訓練を実施しておく必要があります。

また、保育園で対応できないような状況に陥ることも考えられるので、近隣の医療機関との連携体制を平常時から構築しておくことが求められます。これは、保護者や職員の不安を軽減することにもつながります。

あらかじめ連携体制を築いておくことにより、何か治療が必要になった場合でも迅速な医療対応へとつなげることが期待されます。これは、重症化を防ぐためにも欠かせません。
必要に応じて連携している医療機関からの医療指導も受けながら万が一に備えていきましょう。

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飲食物の備蓄

預かっている園児を保護者に引き渡すまで、保育園では責任を持って園児を預からなければなりません。その際、必要になるのが各種備蓄です。

たとえば、飲食物はもちろんのこと、使い捨て哺乳瓶や液体ミルク、ミルクを作るための水も必要になります。
赤ちゃん用の紙おむつ、おしりふきやウェットティッシュについても、十分な数量を事前に備蓄しておく必要があります。

注意しなければならないのが、離乳食時期の子どもに提供する備蓄品です。時期によって食べられるものと食べられないものが変わり、さらに月齢によってはアレルギーチェックが済んでいる食材とそうでない食材が園児ごとに異なるため、防災食を用意する場合は適用年齢・園児ごとのアレルギーの有無を再確認したうえで、対象に応じた備蓄品を整備しておくことが望まれます。

災害時に賞味期限が切れていたとなると食べられないので、備蓄品の賞味期限や状態についても、定期的な管理が欠かせません。特に粉ミルクは湿気の影響を受けやすいので、定期的な状態確認が必要です。

保育園のBCP対策の進め方

保育園でBCP対策を進める際は、どのような手順を踏むべきかを把握しておく必要があります。一般的な進め方は以下の通りです。

【基本的な進め方】

  1. 優先させる業務を明確にしておく
  2. 必要とされる資源を洗い出しておく
  3. 想定されるリスクを具体的に考える
  4. 復旧にかかる時間の目標を設定する
  5. 各種対応手順を策定する

まずは、優先的に実施すべき業務を特定し、事前に把握しておくことが求められます。子どもや職員の安全確保に関するもの、自園にとって欠かせない業務の優先順位を高く設定しておきましょう。

想定されるリスクは災害の種類によって変わってきます。発生する可能性のある災害の種類ごとにリスクや被害を想定しておくことが重要です。

対応手順について考える際は、誰が誰に対して指示を出すのかなど細かいところも決めておきます。

保育園のBCP対策を成功させるポイント

保育園でBCP対策を成功させていくためには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

ポイント①定期的に見直す

一度策定したBCPは、定期的に見直しが必要です。

たとえば、預かっている園児の年齢層が変化した場合や、多発する災害の種類が変わって場合などは、それに合わせてBCP対策も変更していかなければなりません

また、保育園に新しい設備を導入したときなども、設備の導入内容に応じて、BCP対策を再検討する必要があります

古い計画のままでは非常時に対応できないおそれがあるため、定期的な見直しが重要でしょう。常に最新の情報を得ておくことも大切です。

ポイント②スタッフに内容を理解してもらう

BCP対策は、保育園全体で取り組んでいかなければなりません。そのため、職員一人ひとりがBCPの重要さを理解し、自身に求められる行動や役割を把握しておくことが重要です。

災害が発生した際は迅速に判断・行動していかなければなりませんが、そのためには職員の自主的な判断が求められることになります。定期的に想定される災害に向けた訓練を継続的に重ね、理解を深める取り組みが求められます。
非常事態に備え、職員同士が普段からコミュニケーションを取っておくことも重要です。

ポイント③繰り返し訓練を行う

BCP策定後は、繰り返し訓練を行いましょう。想定される災害の種類に応じた訓練を行うことにより、策定していた計画では不足している部分が見えてくることもあります。

訓練は、職員だけでなく園児・保護者も巻き込んだ形で様々なパターンを実施することが望まれます。
不十分な点が明らかになった場合は、速やかに修正を加える必要があるでしょう。

また、初めて作成するBCPが初回策定時において、すべての内容を網羅することは困難と考えられます。訓練を行いながら改善点を見つけて反映させ、計画の精度を高めていくことになるでしょう。
訓練実施後はフィードバックを行い、職員全体で意見交換をすることも大切です。気になるポイントや改善すべきポイントは積極的に意見交換を積極的に行うことで、対策の質を高めることができます。

早めの備えが大切

保育園でBCP対策が求められる理由や、対策に取り組んでいく際の進め方などについて解説しました。BCP対策の実施において重要となる要点も確認できたはずです。
現在対策が講じられていない場合は、非常時に備えて早急な準備が求められます。

保育園におけるBCP対策では、特に備蓄体制の強化が重要な要素とされます。大規模な災害時などは帰宅困難となる園児や保育士が発生することも想定し、十分な量の備蓄を確保しておく必要があるでしょう。
株式会社丸和運輸機関で行っている「防災備蓄ワンストップサービス」では、備蓄に関するワンストップサービスを提供しています。ぜひご相談ください。

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