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賞味期限切れの非常食はいつまで食べられる?見極めのポイント

万が一に備えて非常食を確保しておいたものの、いつの間にか期限が切れていたといった経験はないでしょうか。
企業や施設で備蓄している非常食も、定期的に確認しなければ賞味期限が過ぎてしまうことがあります。
特に大規模な組織では、備蓄管理が不十分な場合、期限切れによる食品廃棄が発生し、廃棄コストの増大や食品ロスの問題に直結します。

ここでは、賞味期限切れになってしまった非常食が手元にあるものの、食べても問題ないか悩んでいるという方のため、押さえておきたいポイントを解説します。
安全かどうかを見極める方法や期限切れを防ぐための方法も解説するので、ぜひご覧ください。

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企業における非常食備蓄の重要性

企業が非常食などの備蓄をしておくことは、災害時に従業員や来訪者の命を守るうえで非常に重要です。従業員や来訪者が帰宅困難者となれば、会社に数日間とどまって生活しなければなりません。
そのため、企業は従業員や来訪者が社内で安全かつ快適に過ごせるよう、食料や水などを事前に備えておく必要があります。

特に、東京都では事業者に対し、災害発生後3日ほどは会社にとどまるように呼びかけています。これは、災害発生から3日間は救助活動を優先させるため、従業員の一斉帰宅で、救助活動の妨げになるのを避けるためです。

3日分の待機に必要な量として、従業員1人あたり3日分の防災備蓄品の用意を努力義務としています。最低3日間、可能であればそれ以上、社内で安全に待機させるための備蓄体制を整えておきましょう。

備蓄をしていたものの、いざ使おうと思ったら賞味期限や消費期限が切れていたというケースを避けたい方はこちら
関連記事:ローリングストックとは?重要性と取り入れるメリット&手順

非常食は賞味期限が切れても食べられる?

非常食に限ったことではありませんが「賞味期限切れ=危険で食べられない」というわけではありません。
賞味期限と消費期限の違いや、どの程度までなら食べられるのかを理解することが重要です。以下で詳しく解説します。

賞味期限と消費期限の違い

食品に記載されている期限には「賞味期限」と「消費期限」があります。

賞味期限とは、食品表示基準第2条第1項第8号において、定められた方法で保存した場合に、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日を指します。
一般的にお菓子やカップめん、缶詰など、比較的劣化が遅くて日持ちする食品に表示されているのが特徴です。
賞味期限はおいしく食べられる期限を指しているため、期限切れだからといってすぐに食べられなくなるわけではありません。

一方、消費期限は、食品表示基準第2条第1項第7号において、定められた方法で保存した場合に、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日と定義されています。したがって、消費期限を過ぎた食品の摂取は避けるべきです。
お弁当やサンドイッチ、お総菜などに表示がされており、主に早く悪くなるもの、傷みやすい食品で採用されています。

参考:(PDF)消費者庁:期限表示(消費期限・賞味期限)[PDF]

非常食はどのくらいまでなら賞味期限切れでも食べられるのか

非常食用として販売されている多くの製品は長期保存を前提としており、一般的に消費期限ではなく賞味期限が設定されています。
おいしく食べたいのであれば賞味期限内に食べる必要がありますが、安全か否かについては、その非常食の賞味期限が何年なのかを参考にするとよいでしょう。

消費者庁では、賞味期限切れの食品における「食べきる目安となる期限」の考え方として、賞味期限(月数)に 0.1(=10分の1)をかけ算し、さらに安全性を高めるため2分の1をかけ算して半分の期間内に食べきることを設定しています。(※)

たとえば、賞味期限が5年(60か月)の食品では、「60か月 × 0.1 × 0.5 = 3か月」となり、期限切れから約3か月以内が食べきる目安となります。

ここから計算した目安は以下のとおりです。

非常食の賞味期限 賞味期限切れ後の食べきる目安
3年 〜60日(2か月)
5年 〜90日(3か月)
10年 〜半年
20年 〜1年

ただし、これはモデル検証段階のものであり、すべての食品に当てはまるわけではありません。
各商品で独自にガイドラインを作っているものもあるので、そちらも参考にしましょう。

なお、あくまでも適切な形で保管されていた場合に限ります。
上記の期間内であれば100%安心とはいえないので、状態もしっかり見極めたうえで食べるかの判断が必要です。

(※)

参考:(PDF)消費者庁:賞味期限の超過した食品を安全・安心に消費できる期限「あんしん期限」認証を前提とする「生活応援食品」の流通システム構築と、その普及に関する社会心理学的検証[PDF]

賞味期限切れの非常食が食べられるかどうかを見極める方法

最終的に賞味期限切れの非常食を食べるかどうかの判断は自己責任となります。
ここでは、缶詰とびん詰、レトルトそれぞれの場合について食べられるかどうかを見極めるポイントを紹介します。

缶詰の場合

食べられるか判断する際は外観を確認し、膨らみがないか調べます。
フタ部分については、少しへこんでいるものが正常とされます。

フタを押したときにペコペコするもの、膨らんでいるものは中に空気や微生物が侵入している可能性があるので食べないようにしましょう。
また、缶に穴が開いているものや錆びているものも避けておくことをおすすめします。

缶詰は長期保存に適しており、2~3年程度の賞味期限が設定されているのが一般的です。
非常食として販売されているものの中には、5年以上の賞味期限が設定されているものも少なくありません。
ただし、果物系の缶詰は賞味期限が短く設定されていることもあるので、注意しましょう。

びん詰の場合

びん詰の場合は、フタが膨らんでいるものはNGと考えましょう。
缶詰と同じようにフタを押したときにペコペコするものは、中に空気や微生物が侵入している可能性が考えられます。

また、びんが遮光されていない場合は光の影響を受けて中身が変色することもあるため、注意が必要です。
異常を感じたものは食べないようにしましょう。

レトルトの場合

レトルト食品については、外装の破損を確認します。
どこか破損しており、中身が漏れ出しているような場合はNGです。

また、パッケージが膨らんでいる場合は中身が腐って膨張している可能性があるので、こちらも食べるのはやめましょう。

賞味期限が切れた非常食の処分方法

賞味期限が切れた非常食は、一般的な食品と同様の方法で処分します。
自治体によって食品や容器ごとの処分方法が異なるため、事前に確認が必要です。
なお、賞味期限切れのものはフードバンクで受け付けていないので、寄付はできません。

注意が必要なのは、BCP対策の一環として企業が非常食を保管していた場合です。
企業が保管していた賞味期限切れの非常食を処分する場合、産業廃棄物の扱いとなることから、コストが発生します。

賞味期限が切れた非常食の処分にかかるコスト

賞味期限が切れた非常食を処分する場合、たとえば2リットルのペットボトルを廃棄するために必要な費用は約80円です。水は従業員1人当たり1日3リットル程度備蓄すべきとされています。3日分となれば9リットル、仮に従業員が50人の企業では450リットル備蓄が必要です。
処分費用が2リットルあたり80円と考えると、水の処分だけでも18,000円ほどかかってしまうと考えておきましょう。

備蓄していた量が多いほど、処分費用がかかると見込んでおく必要があります。
できる限り期限切れにしないように管理していくことが重要です。

非常食の賞味期限を切らさないためには

賞味期限切れへの対応を紹介しましたが、そもそも切らさない工夫が求められます。
ここでは、できる限り賞味期限切れになるのを防ぐための対策を4つ紹介します。

賞味期限が長い非常食を選ぶ

賞味期限が短いものだとわずかな入れ替え忘れでもすぐに期限切れになってしまうため、賞味期限が長い非常食を選んでおきましょう。
3年程度のものから10年以上のものまで、さまざまな商品があります。

普段口にする食品の中で賞味期限が長いものを選ぶのもよいのですが、同じジャンルの食品でも非常食用として販売されているものは一般的なものより賞味期限が長めです。
頻繁な入れ替えが必要なくなれば、その分管理も楽になるでしょう。

ローリングストック法を取り入れる

非常食を管理する方法として、おすすめなのがローリングストック法です。
日常の生活の中で使う食品を多めに備蓄し、常に買い足しながら賞味期限が近い順に食べていく方法のことをいいます。

長く放置してしまった場合に期限切れが起こりやすいので、普段から食品をまわしていく形のローリングストック法であれば、期限切れになる前に気づけるでしょう。

この方法は一般家庭でも広く推奨されています。
企業の場合は、休憩室や社員食堂などを活用してローリングストックを行ってみてはいかがでしょうか。

非常食を準備していたものの、いざ食べてみたら口に合わなかったといったケースは珍しくありません。
特に災害時は精神的に不安を感じることになります。
せっかく備蓄しておいたものがおいしくなかったとなると気分が落ち込みがちですが、ローリングストックであれば食べ慣れたものを自然に備蓄可能です。
管理担当者を決め、月1回などのスケジュールで入れ替えと補充を行っていきましょう。

非常食を計画的に入れ替える

管理担当者が非常食の賞味期限を確認しておき、計画的に入れ替えを行うのもおすすめです。
たとえば、3年の賞味期限が設定されている非常食を揃え、2年経過したものは入れ替えて1年かけて消費していくといった方法もあります。
賞味期限切れまで1年もの猶予があれば、買取事業者に備蓄品を買い取ってもらうことが可能です。フードロス、廃棄コストを抑えるだけでなく、買取収入を得られることが大きなメリットです。

フードバンクに寄付する

社会貢献と食品ロス削減の両立につながるのが、フードバンクへの寄付です。
たとえば、企業で備蓄していた賞味期限が近い非常食が大量にある場合、寄付であれば廃棄処理コストを削減できます。
フードロス削減は、企業イメージの向上にもつながります。

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非常食の入れ替えをスムーズに行うためのポイント

非常食の入れ替えをスムーズに行うためには、どのような方法があるのでしょうか。
おすすめの方法を解説します。

ポイント①日常的に使うものは普段から揃えておく

日常的に使うものは、ローリングストックを活用して少しずつ入れ替えを実施します。
日常業務に消費と補充を組み込むことで、自然に備蓄の入れ替えが可能です。

また、賞味期限が近いものを計画的に消費することで、緊急時に普段食べ慣れたものを口にできるので、ストレス軽減にもつながります。
賞味期限の管理者を決めておくとよいでしょう。

ポイント②自動販売機の災害時用のサービスを確認しておく

オフィス用自動販売機の中には、災害支援型やライフライン型と呼ばれるタイプのものがあります。
停電や災害などが起こった際は、無料で中に入っている飲料や食品を取り出せる仕組みになっているものです。

普段使用している販売機を災害支援型自販機にしておくだけでいいので、自社で備蓄品の保管スペースを大きく取ることなく備蓄できるのが魅力です。
補充や管理はベンダーが担当するため、手間が省けます。

ただ、従業員の人数によっては数が足りず、別途備蓄が必要になることもあります。

ポイント③非常食用のサービスを利用する

企業向けに非常食の定期入れ替えを行っている専門サービスがあります。
自社で備蓄の管理が難しい場合は特に適したサービスです。
専門業者が期限切れにならないように管理し、交換品を納品するので、いざ必要なときに賞味期限が切れていたといった心配もありません。

期限切れにしないための管理が大切

賞味期限切れの非常食について、いつまでなら食べられそうか、どのようにして安全性を見極めればいいのかなどについて解説しました。
平常時は期限切れのものを食べて仮にお腹を壊しても病院に行くなどできますが、大規模な災害の発生後はそうはいきません。
期限切れ=すぐに食べられなくなるわけではありませんが、しっかり賞味期限を管理していきましょう。

BCP対策の一環として、従業員のため非常食を確保しておきたいと考えているのであれば、丸和運輸機関で総合的な管理が可能です。
備蓄品の賞味期限管理からフードロス対策、寄付・再販売対応までお任せいただける体制が整っているため、ぜひ丸和運輸機関の「防災備蓄管理ワンストップサービス」へご相談ください。


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