企業において万が一の災害対策として備蓄品の備えを検討しているのであれば、防災倉庫を導入するのが良いでしょう。
ただ「防災倉庫の必要性や役割がわからない」という方もいるのではないでしょうか。
そこで、防災倉庫について検討している方のため、本記事では防災倉庫の概要や備蓄するべきもの、備蓄量の目安などについて解説します。
この記事を読むことで、防災倉庫がなぜ必要なのか、何をどの程度用意すべきかが分かります。ぜひご覧ください。
防災倉庫とは、災害が起こった際に必要となるさまざまな資機材を保管する倉庫のことをいいます。
保管するものといえば、食料品のほか、生活必需品などが代表的です。
自治体に加えて、近年は企業や一般家庭でも防災倉庫が注目されています。
日本は災害大国とも呼ばれており、特にこれまでにも何度も大地震が発生しています。
万が一に備えるためにも、防災倉庫の導入を検討してみると良いでしょう。
そもそもなぜ防災倉庫が必要なのかというと、大きな理由は発生する災害の規模によっては被害が大きくなり、通常通りの生活ができなくなってしまうためです。
物流がストップし、店頭には何日も食料品や生活必需品が並ばなくなることも考えられます。
このような状況になれば、手元にあるもので何とかしなければなりません。
大規模な災害発生時は全国から支援物資が届くほか、自治体からの給水車も出動するはずです。
しかし、大地震などで主要道路が分断されてしまえば、それらの支援が受けられるまでに時間を要してしまうことは防げません。
普段から余裕をもって備蓄しておけば、いざ災害が起こった際に必要な物資が不足する事態を防げます。
企業の場合は、自社で働く従業員のため、十分な量の備蓄をしておくことが求められます。
災害が起こった際にどこに備蓄しておいたのかわからなくなるのを防ぐため、そして十分な量の備蓄をするためなどに防災倉庫を構えることを検討してみてはいかがでしょうか。
防災倉庫の中には、災害が発生した際に役立つもの、必須になるものを入れておくのが基本です。
内閣府の防災情報のページでは、以下のような備蓄が必要と紹介されています。
食糧 | スティックタイプの乾パン、缶入り粥、アルファ化米、パンの缶詰、調整粉乳、ミネラルウォータ等 |
救助用資機材等 | 投光機、発電機、炊き出し用バーナー、電気メガホン、テント、簡易便所、ポータブルトイレ、担架、組み立て式リヤカー、大工道具セット、救出用資器材セット、間仕切りパネル等 |
燃料等 | ガソリン、オイル、灯油 |
生活必需品 | 毛布、カーペット、バケツ、タオル、石鹸、ポリタンク、調理器具、食器、ゴミ収集袋、おむつ(子供用、大人用)、哺乳瓶とスペアの乳首、多機能ラジオ、乾電池、生理用品、肌着、ブルーシート等 |
医療防疫用資機材 | 災害医療資機材、救急用医療セット等 |
参考:内閣府:防災情報のページ「特集 災害の備え、何をしていますか」
一般的には企業内で赤ちゃんが過ごす状況は想定しにくいため、哺乳瓶や子ども用おむつなどは不要とされる場合もあります。
ですが、小さな赤ちゃんのいる従業員が会社で避難生活を送る可能性も考えておきましょう。
必要なものをあらかじめ用意して、不足を防ぐことが大切です。
農林水産省のサイトでは、1人当たりの備蓄量の目安(3日分)を以下のとおり発表しています。
内容 | 備蓄品 | 3日分の目安(1人につき) |
主食 | 水 | 9リットル |
レトルトご飯、アルファ米 | 7パック | |
パン(食パン) | 1食分 | |
即席麺、カップ麺 | 1個 | |
主菜 | 肉・魚・豆などの缶詰 | 5缶 |
レトルト食品 | 2パック | |
豆腐(充填) | 1食 | |
乾物(かつお節、桜エビ、煮干し等) | 適量 |
参考:(PDF)農林水産省:緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド[PDF]
アルファ米とは、お湯や水を注ぐだけでご飯になる保存食です。
そのほか、カセットコンロやカセットボンベなどの調理器具も用意しておく必要があります。
実際の使用場面を想定して準備を進めましょう。
たとえば、お米を備蓄しておいても水やカセットコンロ・ボンベがなければご飯は炊けません。
さらに、ご飯だけでは満足な食事にならないため、おかずも備えておく必要があります。
3日分の目安について紹介していますが、可能であれば1週間分の備蓄が推奨されています。
また、非常時に備えて、トイレ関連の備蓄も必要です。
1人当たり7日分として35回分は用意しておきましょう。(※)
ただし、トイレに行く回数は人によって大きく異なるはずです。
7日分で35回ということは、1日あたり5回を想定しています。
これよりも多くトイレを利用する可能性も考えられるので、余裕をもって準備しておくことが重要です。
トイレは非常時であったとしても我慢できるものではありません。
従業員が不便な思いをせずに済むように、しっかり備えておくことが求められます。
(※)参考:経済産業省:トイレ備蓄 忘れていませんか
とりあえず防災倉庫を導入すればよいと考えるのではなく、事前に設置に関する注意点を確認しておきましょう。
気をつけておくべき4つのポイントを解説します。
防災倉庫と業務スペースが同じになってしまうと、用意しておいた備蓄品が日々の業務に必要なものに紛れ、どこに保管されているかわからなくなるおそれがあります。
このようなトラブルが発生しないようにするためにも、防災倉庫と業務スペースは明確に分けておきましょう。
実際に災害が起こった際に、備蓄していたものがすぐに必要になることもあります。
たとえば、夜間に地震が発生したような場合は、懐中電灯やランタンなどのアイテムが必要です。
備蓄倉庫が業務スペースから離れているとそういったものにアクセスできません。
ただ、どうしても防災倉庫として活用するスペースが業務スペースから離れたところにしか設置できないようなケースもあるでしょう。
このような場合でも、照明器具のように災害時にすぐ使う可能性の高いものはアクセスしやすい場所に設置しておくことが重要です。
防災倉庫にはいざ必要となった際に使えなかった、賞味期限が切れていたといったことがないように、長期保存が可能な物資を入れておく必要があります。
長期保管を前提としているので、それに適した場所を選ばなければなりません。
たとえば、直射日光が当たる場所に設置すると真夏に高温になり、中に保管しておいたものがダメージを受けてしまう可能性があります。
また、湿気の多い場所も避けておきましょう。
防虫・防錆対策も求められます。
保管する物資の量と内容を踏まえて、設置場所を検討する必要があります。
各自治体では、防災計画や防災倉庫の設置基準を定めています。
こちらを参考にしてみるのもよいでしょう。
たとえば、東京都では以下のように防災備蓄倉庫の整備・設置基準を示しています。
【東京都の防災備蓄倉庫整備基準】
参考:東京都都市整備局:都市開発諸制度の適用に関する防災都市づくりに係る規定の取扱い指針
他にもさまざまな基準が定められています。
会社のある自治体ではどういった基準を設定しているのか確認しておきましょう。
防災倉庫を選ぶ際はいくつか確認しておかなければならないことがあります。
ここでは倉庫のサイズ・設置スペースの広さ、耐久力、配送の可否について解説します。
倉庫を導入する場合、先にどの程度のものを備蓄する必要があるのかから考えておきましょう。
たとえば、7日分の食料を備蓄する場合、従業員が50人の企業では1日3食×7日×50人と考えて1,050食もの備蓄が必要です。
主食だけではなく、主菜や水、トイレなど、備えておかなければならないものは沢山あります。
これらを保管できるサイズの倉庫を選ぶ必要があります。
具体的に何をどの程度備蓄しておくのか明確にしておき、収まるサイズの防災倉庫を選びましょう。
ただし、倉庫を設置できるスペースが限られている場合は、その範囲内に設置が可能な倉庫を選ぶ必要があります。
1か所のみに設置する形だと災害などでその倉庫に立ち入れなくなると、備蓄品が利用できなくなるおそれがあるので、複数箇所に分散させておくのも一つの方法です。
防災倉庫を導入する際に価格の安さを重視してしまうと、耐久力の低いものを選んでしまう恐れがあります。
たとえば、鋼板が薄い倉庫の場合、豪雪地帯では積み上がった雪によって扉がへこんだりすることもあるでしょう。
大切な備蓄品を入れておく倉庫ということもあり、耐久力があり、長く使えるものを選んでおくことをおすすめします。
さまざまな条件を考慮して自社に適した倉庫を見つけたものの、配送可能エリア外だったというケースがあります。
事前に自社が配送可能エリア内であるか確認しておきましょう。
一般的に、防災倉庫は完成形で届くわけではなく、パーツごとに梱包されて届きます。
ですが、大型トラックで配送するケースが多く、配送場所の近くまでトラックが入れないケースはお届けできないとしている場合もあるので注意しておきましょう。
トラックが進入できず返品となる事態を避けるためにも、事前に十分な確認が必要です。
いかがだったでしょうか。
防災倉庫の必要性や役割、備蓄すべき物資の量や目安について解説しました。
設置前に確認すべき注意点についても理解が深まったのではないでしょうか。
企業は万が一の災害に備えたBCP(事業継続計画)対策に取り組まなければならず、災害時に必要なものを備蓄しておくことはBCP対策としても効果的です。
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