災害時に必要なものは、あらかじめ余裕をもって準備しておかなければなりません。
ですが、具体的にどのようなものが必要になるのかわからず、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで、万が一の事態が発生した際の備えを充実させておきたいと考えている方のため、災害時に必要になるものの詳細を解説します。
本記事では、共通して必要な備蓄品や、女性・赤ちゃん・高齢者がいる場合に準備しておきたい品目について解説します。
災害時に必要なものとしては、具体的にどのようなものが挙げられるのでしょうか。
以下では、災害時に備えて用意すべき備蓄品について説明します。
必ず備えておくべきなのが水です。
1人1日3リットル程度の水を目安に備蓄しましょう。
これは飲用や調理に必要な最低限の量であり、手洗いや洗顔などに使う生活用水は別途確保する必要があります。
少なくとも3日分を目安とし、1人当たり9リットル程度を確保しておくことが望まれます。(※)
企業が水の備蓄を行う場合は、従業員の人数に合わせて十分な量を確保しておかなければなりません。
仮に従業員が100人いる場合は、9リットル×100人で900リットルもの水が必要になります。
2リットルペットボトルにすると450本です。
近隣住民や顧客が避難してくることを想定しているのであれば、さらに多くの水を備蓄しておかなければなりません。
また、1人当たり9リットルはほしいものの、これには手洗いや洗顔、歯磨きなどで使用する生活用水は含まれていないので注意しましょう。
これらも含めると1人当たり9リットルでは足りません。
洗顔シートや歯磨きシートなど、水を使わずに済む衛生グッズを備蓄しておくことで水の使用量を抑えられるので、水の節約手段として、これらの備蓄も併せて準備を検討する必要があります。
なお、防災リュックに入れる場合、1人当たり9リットルもの水を入れるのは現実的ではありません。
500ml のペットボトルの水を無理のない本数入れておきましょう。
(※)参考:(PDF)農林水産省:緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド[PDF]
食料品も最低3日分の備蓄が推奨されています。
1日3食と考えると、1人当たり9食は確保しておきましょう。
主食は、お米のほか、レトルトご飯、水やお湯を注ぐだけでご飯になるアルファ米などがあります。
また、パンを備蓄しておきたい場合は缶詰のものなど、長持ちするものを選びましょう。
他にも乾麺や餅、シリアル、即席めんなどを主食として備蓄するとよいでしょう。
主食となるものだけではなく、特にタンパク質の確保ができる主菜も用意しておくべきです。
肉や魚、豆などの缶詰のほか、レトルト食品などが挙げられます。
普段から食べ慣れたものをローリングストックで備蓄しておくと、非常食ばかりの単調な食事を避けるためにも、普段食べ慣れた食品を備蓄しておくと効果的です。
(※)参考:(PDF)農林水産省:緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド[PDF]
カセットコンロやボンベも、災害時に欠かせない備えの一つです。
たとえば、ご飯を炊いたり、麺を茹でたりするのに活躍します。
レトルト食品を温めたり、お茶を飲んだりするのにも火が必要です。
大規模な災害が発生すると電気やガスが止まりやすいので、カセットコンロ・ボンベを確保しておきましょう。
なお、カセットボンベ1本当たりの平均的な使用可能時間は、強火の場合で1時間程度です。
何を温めたり調理したりするのか、何人分の食事を想定するかに応じて、必要な本数を計算しておくことが重要です。
カセットボンベを防災リュックに入れるのはおすすめできません。
荷物が重くなると避難が遅くなってしまう可能性があるためです。
カセットコンロ・ボンベは自宅や勤務先など、すぐに使用できる場所に備えておくことが大切です。
災害時に必要なものとして、うっかり忘れてしまいやすいのが着替えです。
十分に水が使えないと不衛生な状況になりやすいので、着替えも事前に準備しておくことが望まれます。
自宅避難の場合は特に必要はありませんが、防災リュックには簡単な着替えを入れておきたいところです。
たとえば、雨の日に傘をささずに避難することになった場合、濡れた服のままで過ごすと低体温症の恐れがあります。
命を守るためにも着替えは必要だと考えておきましょう。
避難所でも衣類の支援は受けられますが、初日から十分な量が配られるとは限りません。
水や食料と同様に、着替えも3日分を目安に準備しておくと安心です。
防災リュックには最低限の着替えだけ入れておき、不足する場合は自宅に取りに戻る方法もあります。
また、衣類用の圧縮袋を使用すると防災リュックにもある程度の枚数を入れておきやすくなります。
財布や印鑑、身分証、通帳などをひとまとめにしておくと緊急時にサッと取り出して避難しやすくなります。
避難時の負担を減らすため、持ち出す物は必要最低限に絞る必要があります。
避難所での生活に必要になるものをイメージし、厳選して持って行きましょう。
たとえば、身分証明書として健康保険証のコピーを入れておいたり、公共機関の手続きで必要になる印鑑などを用意しておいたりすることをおすすめします。
被災直後にクレジットカードが利用できない場合に備え、現金も一定額確保しておく必要があるでしょう。
携帯トイレとトイレットペーパーは、非常時に備えるうえで欠かせません。
空腹はある程度我慢できても、トイレは我慢できない方が多いでしょう。
水道が停止すると、通常のトイレは使用できなくなります。
避難所でも多くの人がトイレに押し寄せ、不衛生な状態になったり、トイレが使用できなくなったりすることもあります。
このような事態に備えて企業や家での備蓄はもちろんのこと、防災リュックにも携帯トイレを入れておきましょう。
トイレットペーパーも忘れないようにしてください。
防災リュックに入れる場合は芯を取り外してつぶしておくとスペースを圧迫しにくくなります。
解熱剤のほか、かぜ薬や胃腸薬、絆創膏、消毒薬といった常備薬も災害時に必要なものです。
被災時はいつもと異なる生活で体調を崩してしまう方も多くいます。
体調不良でもなかなかすぐに病院には行けないケースもあるので、しっかり備えておきましょう。
また、持病を抱えている方などはお薬手帳もひとまとめにしておくことをおすすめします。
被災状況によっては通常と異なる医療機関を受診する可能性があり、服用中の薬を正確に伝えるためにも、お薬手帳を持参しておくと安心です。
情報収集の手段として、携帯ラジオを用意しておきましょう。
通常はスマートフォンを使って情報を得る人が多いかもしれません。
ですが、スマホは被災後に家族や友達などと連絡を取るための重要な手段になります。
できるだけ充電を減らさないためにも、携帯ラジオでの情報収集を行いましょう。
電池が切れていても手回しで発電できたり、スマホなどを充電するために活用できたりするものを選んでおくと、より活躍します。
乾電池でしか動かないものについては、予備の乾電池も用意しておきましょう。
避難所など周囲に人がいる場面を想定するなら、イヤホンも併せて準備しておくとよいでしょう。
大規模な災害が発生すると、電気が止まってしまいます。
懐中電灯は、暗闇での安全確保に役立つ重要なアイテムです。
また、電気がついていなければ昼間でも室内が暗くなるので、対策として懐中電灯を用意しておきましょう。
手に持って使用する製品のほか、できれば床や机において使え、調光できるタイプのランタンも用意しておくのがおすすめです。
ガレキなどで足場が不安定になっている場所を歩く際は、懐中電灯で片手がふさがってしまうと転んだ時に危険なので、ヘッドライトも備えておくと安心です。
停電が長く続くことも考えられるので、予備の電池も忘れずに用意しておきましょう。
感染症を予防するための準備も不可欠です。
以下のようなアイテムを用意しておきましょう。
【感染症予防グッズ】
これらは備蓄として用意しておき、防災グッズにも入れておくことをおすすめします。
断水した場合は、手が汚れても水で洗い流すことができません。
ウェットティッシュを使ったり、そもそも手が汚れないように使い捨て手袋を用意したりしておきましょう。
災害時に被災した場所で十分な安全が確保できない場合、安全な施設・場所に避難しなければなりません。
そのときに活用したいのが、防災リュックです。
ここでは、女性がいる家庭で防災リュックを用意する場合に入れておきたいものを紹介します。
生理中、またはその直前に被災する可能性もあるため、生理用品を備えておく必要があります。
普段使用している生理用品であれば、被災時でも戸惑わずに対応できます。
衛生面への配慮から、こまめな交換が望まれるため、余裕をもって用意しておくことが大切です。
また、月経時に腹痛などが起こりやすい方は、生理用品と一緒に鎮痛剤も用意しておくのがおすすめです。
ナプキンと併用して使用するサニタリーショーツは、生理用品のズレを軽減するのに役立ちます。
また、生地が防水構造になっていることから、漏れを防ぐためにも活用したいアイテムです。
被災地は水が貴重であることから衣類が汚れても気軽に洗うことが難しいので、汚さないように対策をとっておかなければなりません。
予備のサニタリーショーツも数枚、防災リュックに入れておくと安心です。
使用した後の生理用品を捨てるための黒いごみ袋を備えておきましょう。
女性であることが目立たないようにする配慮も、防犯の観点から重要です。
持ち物を目立たせずに運ぶため、大きめの黒い袋を活用するとよいでしょう。
避難所で主に性犯罪に巻き込まれてしまうリスクを少しでも低くするために、防犯ブザーを所持しておきましょう。
「被災時の大変なときにそのようなことする人はいないのでは」と思うかもしれませんが、内閣府でも注意を呼びかけています。
日中でも夜間でも、1人で出歩くことはせず、外出する際は防犯ブザーを携帯することが推奨されているため、あらかじめ備えておくことが大切です。(※)
リュックの奥の方に入れておくのではなく、何かあった際にすぐ使えるようにリュックに吊り下げておきましょう。
(※)参考:内閣府 防災情報のページ:Q:避難生活を快適に、安全に過ごすための対策を教えてください。
小さな赤ちゃんがいる場合は、しっかりと備蓄品を備えておくことが求められます。
必要となる代表的な備品は以下の通りです。
おむつの替えがないと汚れたときに取り替えられず不衛生になってしまうため、余裕をもっておむつを準備しておきましょう。
なかなかコンパクトにはできませんが、圧縮袋を利用することによって防災リュックに収納できる枚数が増えます。
また、おむつ用のごみ袋も忘れずに用意しておいてください。
ニオイが外に漏れるのを防ぐためには、防臭袋をおすすめします。
注意点として、赤ちゃんの成長によっておむつのサイズが変わるので、サイズが合わず使用できない事態を避けるためにも、定期的な見直しが欠かせません。
大人はある程度空腹を我慢できますが、赤ちゃんにはそれが難しいため、準備が欠かせません。
ミルクや哺乳瓶は支援物資として配布されることもありますが、避難所によっては物資が届くまでに時間を要することもあるため、事前にミルクと哺乳瓶を用意しておく必要があります。
缶に入った大きな粉ミルクよりも、キューブタイプの粉ミルクや液体タイプのミルクの方が適しているケースもあります。
ただし、普段と異なるミルクでは飲まない可能性もあるため、事前に確認しておくことが望まれます。
赤ちゃんの年齢に応じた離乳食の準備が必要です。
避難所では大人向けの食事しか提供されない可能性があるため、離乳食を用意しておきましょう。
スプーン付きのパウチタイプだと便利です。
特に食物アレルギーがある場合は確実に食べられるものを備えておかなければなりません。
お尻拭きは赤ちゃんの清潔を保つために欠かせないアイテムです。
通常のティッシュなどでは乾いていることから肌への負担が大きく代用しにくいので、余裕をもって準備しておきましょう。
多めに用意しておけば体拭きや手拭きなどに代用することも可能です。
高齢者がいる場合、どのようなものが必要になるのでしょうか。
家庭の防災リュックには以下のようなものを忘れずに入れておきましょう。
大人用おむつや尿取りパッド、ボディタオル、おしり拭きなどが必要な場合は、これらを用意しておきましょう。
何が必要になるかは介護度によっても大きく変わってきます。
避難所でできるだけ快適に過ごすために必要なものを不備なくそろえておくことが重要です。
口腔内を清潔に保つことは、感染症予防のためにも欠かせません。
入れ歯を使用している場合は、非常時でも持ち出せるように就寝時にすぐ近くに保管しておくか、清潔にしてからお口に入れて就寝するとよいでしょう。
洗浄液もあわせて備えておくと安心です。
耳が悪いと避難所での重要な指示や案内を聞き逃してしまう恐れがあります。
補聴器を備えておきましょう。
予備の電池も必要です。
今回は、災害時に必要なものとしてはどのようなものがあるのか解説しました。
共通して必要なものや、家族構成に応じて準備すべきものが把握できたかと思います。
備蓄は、一般家庭はもちろんのこと、企業においても必要なものです。
企業には従業員を守る責任があるため、各種備蓄品を過不足なく整えておくことが求められます。
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