万が一の災害に備えるため備蓄をしていたものの、いざ使おうと思ったら賞味期限や消費期限が切れていたというケースもあります。
これを防ぐために役立つのが、ローリングストックです。
ただ「そもそもローリングストックとは?」と、よくわからない方もいるのではないでしょうか。
そこで、備蓄品の適切な管理に興味のある方のため、ローリングストックとは何か、なぜ重要でどのように実践していくべきかを解説します。
本記事を通じて、災害時にも確実に使える状態で備蓄を維持する方法を理解できます。
ローリングストックとは、普段使う食料や日用品を多めに備蓄し、消費した分を補充する方法です。
「万が一の災害に備え、食料品などを購入していたものの、いつの間にか賞味期限や消費期限が切れていた」という経験をしたことがある方もいるでしょう。
単純に備蓄として保管しておくと、実際にそれが必要になるシーンまで放置してしまうことがあり、結果として期限切れにつながりやすくなります。
一方で、ローリングストックは普段使うものを多めに備え、消費と補充を繰り返す方法であるため、期限切れを防ぎやすくなります。
ローリングストックは、備蓄していたものが必要になったときに期限切れで使い物にならなかったといった事態を防ぐためにも重要です。
大規模な災害が発生した後はなかなかすぐ支援が行き渡らず、それぞれが備蓄していたもので何とかやりくりしなければならないこともあります。
たとえば食料品の備えが十分にできていないと栄養不足に陥りやすくなりますが、そのような事態を防ぐためにもローリングストックは重要です。
ローリングストックにはさまざまなメリットがあります。
特に大きな魅力は以下の3つです。
使ったもの、または食べたものを補充していくだけなので、平時の負担が少ないのがメリットです。
たとえば、いつ使うかわからない備蓄品に多くの収納スペースを取られてしまうことがなくなります。
また、ローリングストックにより古いものは新しくなっていくので、賞味期限切れを定期的にチェックする手間を抑えやすいのもメリットです。
災害などに備えて非常食を用意していたものの、実際に食べたら美味しくなかったということもあります。
ローリングストックでは普段口にしている食料品を回していくことになるので、このようなことはありません。
災害発生時でもいつもと同じものを食べられるので、精神的な安定にもつながります。
長期保存可能な非常食のみを備蓄する場合と比べて、より多様な食料を備えることができます。
使った分だけ買い足していく形なので、各種缶詰や比較的賞味期限が短いものも備蓄しやすくなり、栄養バランスの取れた備蓄が可能となる点が特長です。
これにより健康を維持しやすくなります。
どのようなものを備蓄すればよいのでしょうか。
必需品、主食、主菜、副菜・果物、その他について解説します。
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必需品としては、以下のようなものがあります。
【必需品一例】
カセットコンロやボンベは一度にある程度揃えておけるように思えますが、カセットコンロ買い替えの目安は製造から10年程度です。
ガス漏れを防止するゴム部品の劣化が主な理由です。
また、カセットボンベの使用期限は製造から約7年が目安とされていますが、製品によって異なるため、各商品の表示やメーカーの案内を確認することが大切です。
いざ必要なときに使用期限が切れていたといったことがないように、使用期限を迎えそうなものは普段の調理などで活用していきましょう。
また、乾電池は使用推奨期限を過ぎても使用できる場合がありますが、液漏れや性能低下のリスクが高まります。
災害時に確実に使いたい機器には、新しい電池を使用するのが安心です。
定期的にローリングストックで入れ替えておくことをおすすめします。
なお、市販の水は未開封であれば賞味期限を過ぎても品質が保たれていることが多いですが、保管状態や容器の材質によっては品質が劣化するおそれもあります。
消費者庁では以下のように説明しています。
また、飲料水は、賞味期限を超過しても一律に飲めなくなるものではありません。品質の変化が極めて少ないことから、一部のものについては期限表示(消費期限・賞味期限)の省略も可能としています。
見た目や匂いに異常がないかを確認し、心配な場合は新しいものと交換しましょう。
食料品でも特に重視しておきたいのが主食です。
空腹を避けるためにも、食事の中心となる主食は、事前に十分な量を備えておく必要があります。
【主食一例】
ご飯はお米として用意しておく方法もありますが、その場合は水を節約できる無洗米を選ぶのが適切です。
一方でパックご飯は手軽ではありますが、そのままでは硬くて消化に負担がかかることがあるので、電子レンジが使えない場合でも湯煎するなどの方法で加熱してからから食べるのが理想的です。
乾麺でいうと、比較的賞味期限が長いため、パスタは備蓄に適しています。
他の麺類も同様に、調味料がないと味が単調になるため、ソースやだし・つゆなども考えなければなりません。
これらのローリングストックも同時に行っていきましょう。
主食のみではどうしても栄養素が不足してしまうので、主菜も併せて備えておく必要があります。
十分な量のお米だけを備蓄していたとしても、ご飯だけを食べ続けることは、精神的・栄養的にも負担が大きくなります。
主食に合わせやすく、備蓄に適した主菜をローリングストックしていきましょう。
【主菜一例】
普段の食事に取り入れており、賞味期限が長く保存性の高い食品が適しています。
非常時に副菜や果物まで検討する必要はないように思うかもしれませんが、健康維持の観点からも、備えておくことが重要です。
【副菜・果物】
野菜や果物が不足するとビタミン、ミネラル、食物繊維が不足してしまう恐れがあります。
十分に副菜・果物を備えられない場合は、マルチビタミンや食物繊維のサプリメントを用意しておくのも一つの方法です。
各種調味料のほか、お菓子、インスタント味噌汁などもローリングストックしておきましょう。
醤油や味噌、塩・砂糖などは常に余裕をもってなくなる前に買い足しておくだけでも役立ちます。
常に1つ未開封品をストックしておき、古いものから使うのもおすすめです。
日用品についても同様に必要なものを洗い出し、多めにストックしておきましょう。
ローリングストックの手順は、以下の3つです。
【基本的な手順】
それぞれ解説します。
食料や飲料水、その他日用品などは多めにストックしておきます。
長期保存に向いているものとそうでないものがあるので、それぞれの賞味期限や消費期限を確認しておくことも重要です。
古くなったものから順に使用していきましょう。
ただ、企業においてBCP対策の一環としてローリングストックする場合、普段は使用しないものもあるはずです。
たとえば食料品の場合、一般家庭では日々の食事で使用する機会がありますが、企業の場合は災害時に備えて食料品を保管しても使う機会がないケースもあるでしょう。
これでは賞味・消費期限切れに気づけないことがあるので、毎月または数ヶ月おきなどのタイミングで古くなったものを回していかなければなりません。
日用品のローリングストックも並行して行っていくことが求められます。
使った分は買い足し、常に余裕をもってストックしておきましょう。
「使ったにもかかわらず、補充を忘れてしまう」ということを防ぐためには、新しく補充したうえで古いものを使うのもおすすめです。
買い足したものは棚や引き出しの奥に補充し、古いものが順に手前に来るようにすると取り出しやすい配置が実現できます。
この工程を繰り返すことで、ローリングストックの仕組みを維持できます。
企業の場合は、誰がローリングストックを管理するのかを決めておくようにしましょう。
いかがだったでしょうか。
蓄品のローリングストックとは何か、どういった重要性があってどのように進めていけばよいかなどについて紹介しました。
実践する際の手順などもご理解いただけたはずです。
ですが、実際にはうまく備蓄を回すことができず、腐らせてしまったり、期限切れになったりすることもあります。
企業ではBCP対策の一つとして備蓄が必要です。
自社では難しかったり、実際に失敗してしまったりした場合は、丸和運輸機関にご相談ください。
備蓄品の保管や管理、配送など、一貫して代行が可能です。
サービスをカスタマイズしてご利用いただくことも可能なので、ご活用ください。